動脈管開存症の手術
こんばんは、院長です。
ここ数日で秋というより冬を感じる寒さになってきましたね。
急に寒さが深まると、人でも動物でも体調を崩してしまいがちです。
とくに寒い時期に増える病気としては、尿石症や椎間板ヘルニアが当院では多く感じます。
昨日はとても忙しい1日で朝から夜までバタバタでした。
昼間には下記で紹介する心臓病の子の手術がありました。
さらに4件の尿石患者が紹介で一気に来院され、1頭は緊急手術も必要で、夜の診察終わりに皆で頑張って手術しました。
遅くまで残って手伝ってくれたスタッフたち、いつもありがとう。
無事に手術も成功して何よりです。
そんな疲れも残る本日でしたが、本日は当院で賄い飯を作ってくださる清水先生が来院される日でした。
今日は昨日と打って変わって、昼から美味しく栄養のあるご飯にありつけて最高の1日となりました。メインメニューは長ネギの塩ダレ豚巻きで、その他にも多くの副菜もあり大満足です。
こうやって日々忙しい中でもたまにはホッとする時間を作れることはとてもありがたいです。
これからも先生には甘えながら、美味しい昼食をお願いしたいと思います。
さて、本日紹介する病気は「動脈管開存症:PDA」です。
この病気は生まれつきであるため、最近は見ることも少なくなってきましたが、
当院は循環器治療に力をいれているために、紹介来院されるケースが多いです。
そもそも動脈管とは胎児期に存在する大動脈と肺動脈を繋ぐ血管なのですが、
それが生まれた後にも残ったままになることで様々な症状を引き起こす病気です。
初期は臨床症状を示すこともありませんが、アイゼンメンジャー化という病態に陥ると治療も難しくなります。
そのため発見後できるだけ早急に治療する必要があります。
治療は基本的に外科手術です。
一つは動脈管結紮術、もう一つはコイル塞栓術です。
コイル塞栓術の方が負担は圧倒的に少ないですが、小型犬などでは対応できないことも多く適応が限られてきます。
今回の症例は1kgの子犬だったため、開胸での結紮術を選択しました。
以下怖い写真になりますのでご注意ください。
治療は非常にシンプルで動脈管に糸をかけて縛るだけです。
とはいってもこの辺りの血管が損傷すると、致命的です。
また非常に小さな小型犬ですので、術野も小さく、周囲の神経や胸管にも気をつけて剥離を進める必要があります。
ですので当院では結紮術の中でも「ジャクソン変法」と言われる安全性の高い術式で手術を実施しています。
そして無事に手術が終わりましたが、術後のエコー検査で問題がないことを確認します。
こちらが手術前のエコー検査の写真です。
難しいですが、肺動脈に大動脈からの血液が流入してきている写真になります。
簡単に言うと、黄色く見えているシグナル信号が異常です。
これが手術後のエコー写真ですが、上記にあった異常シグナルが消失しています。
これで治療がうまくいっていることが確認できます。
このあとは痛み止めや、ドレーン管理をしながら入院を続けていきます。
そして今日が手術翌日ですが、早速ご飯も食べてくれて元気な顔をみせてくれています。
非常に愛嬌のあって可愛い子ですね。
こちらも元気になれました。
これでこの子は寿命を全うすることができます。
超極小犬での手術だったため、ヒヤヒヤしながらでしたが上手くいって何よりです。
このように心臓病といっても様々ですが、当院では様々な術式を取り入れながら、その子にとってベストな方法を提示するようにしています。
循環器疾患でお困りのことがあれば、ご来院いただければと思います。
院長
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JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
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