心臓外科手術、よく乗り越えました。
3月18日(日)
゜゚・*:.。..。.:*・゜獣医師の臨時休診のお知らせ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜
それぞれの通常の休みに加え、下記日程が休みとなりますのでご注意下さい。
詳しくはホームページの獣医師出勤表をご確認下さい。
院長:3月17日(土)午後、25日(日)、29日(木)午前、31日(土)午後
百石:3月18日(日)、24日(土)午後
三浦:3月18日(日)、25日(日)
國廣:3月31日(土)
こんばんは、院長です。
ここ数日の花粉が辛く、目も腫れた状態で診察しています。
暖かくいい季節なんですが、何とかならないものか、試行錯誤中です。
さて今日のお話は、久々に 症例紹介です。
当院に以前より来院されていたキャバリアの女の子です。
キャバリアといえば、最も注意しないといけない病気が心臓病。
特に「僧帽弁閉鎖不全症」という病気を高率に発生します。
この子も2年ほどん前より心臓病を発症していたのですが、まだ年齢は8歳です。
シニアに足を踏み入れたくらいの、まだまだの年齢です。
しかし心臓病の進行が非常に早く、入退院を繰り返していました。
これはレントゲン写真になりますが、
心拡大が著しく、肺や気管が押されてしまっているのが分かります。
エコー写でも左心房と言われる領域ありえないほど大きくなっているのが分かります。
この影響で肺水腫といて、肺に水がたまる状況になるため、入退院を繰り返していました。
お薬も利尿剤、強心剤、ACE阻害剤・・・かれこれ10種類弱もの薬を毎日毎日飲む必要がありました。
それでも肺水腫を引き起こす。。。
正直、お手上げの状態です。
しかし年齢はまだ8歳。
おそらくこのままの治療を続けても1年持たないでしょう。
そこで大きな賭けにはなりますが、心臓外科手術の選択肢を提案しました。
犬の心臓外科の歴史は浅く、まだまだ未知の部分も多い手術です。
京都でもこの手術に携わっている獣医師は私だけですし、
おそらく全国で数えても2桁くらいでしょうか。
私はこの2年くらい大阪の心臓外科チームに所属し、2週間に1回心臓手術を皆で実施しています。
もちろんリスクや負担はありますが、成功率も非常に高くなっており、今までの苦しい生活から解放させてやることができます。
そして飼い主さんも私を信頼して手術を望まれました。
こうなればあとは成功に向けて全力を尽くすのみです。
術前1週間は当院にて入院管理し、ベストな心臓の状態にもっていくように治療を続けました。
そして手術当日。
私とツーショットで、これからの大手術に向けて気合いをいれます。
必ず元気になって戻ってこようね。
そして手術が始まりました。
心臓がかなり張っているのが分かります。
心臓手術は心臓を止めて行う手術になりますので、
首の頸動脈、頸静脈からカテーテルを挿入し、体外循環装置(人工心肺)という機械に接続して心臓の代わりをしてもらいます。
心臓を止めると、あとは時間との戦いです。
できるだけ処置を早く済ませなければ危険です。
心臓を切開し広げたあと、
僧帽弁閉鎖不全症の原因となる僧帽弁の修復をおこなっていきます。
そして逆流テストを実施し、心臓を再度縫合していきます。
そして心臓を再鼓動させ、各種カテーテルを抜いて閉創していきます。
無事に手術は終わりました。
傷口も大きく痛々しいですが、よく頑張りました。
この後も油断はできないため、チームメンバーにバトンタッチして術後の管理をしていただきます。
そして術後10日がたって・・・
無事に元気な姿を見せてくれました。
傷口も順調にふさがり抜糸も問題なくおしまいです。
今までは咳が止まることなく出ていたのが、今ではほとんどありません。
しばらくは血栓予防のお薬などが続きますが、ひとまず安心です。
お薬も完全になくなるわけではありませんが、従来の量を比べるとかなり少なくなりました。
そして何より、、、これで心臓病は克服したため、まだまだ長生きすることができます。
本当によく頑張りました。
このように動物の心臓外科手術は現実的なものとなっています。
特にまだ体力のある子であれば、手術によって長生きさせてやることが可能となります。
もちろん様々な負担はかかりますが、命には変えられません。
これからも目の前の命のために、最新の獣医療を提供し続けようと思っています。
「犬の心臓病も治る時代になりました。」
知らない方は心に留めておいてください。
院長
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