右京動物病院(京都の動物病院)右京動物病院スタッフブログ皮膚だけの問題、ではありません。

皮膚だけの問題、ではありません。

診察

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こんばんは。獣医師の三浦です。

少しずつ紅葉が進んできて良い色合いになってきましたね🍁
丸太町通が黄色く染まるのはいつかなぁと楽しみにしている今日この頃です☺
そしてこの時期になると、友人がちょこちょこ遊びに来てくれるのも嬉しいです。
感染に気を付けつつ、短い秋の京都を堪能しようと思います。
お勧めの紅葉スポットがあればまた教えてください😊

 

さて、本日は14歳のダックス、Mちゃんの話をご紹介します。
Mちゃんは皮膚炎がなかなか良くならない、ということで転院されてきました。

見てみると、背中に瘡蓋がたくさんあって、とても痒そうです💦
皮膚の検査では細菌がたくさん出ていました。

治りにくい皮膚疾患には、何らかの基礎疾患が隠れいてることがあります。
若齢の場合はアトピーやアレルギーなども疑われますが、
高齢の場合はホルモン異常が関わっていることが多いです。
Mちゃん排泄の失敗が多い、お腹がだるんと弛んでいる、飲水量がやたらと増えた、などの症状もあったため
基礎疾患の存在を強く疑い、精査をお勧めしました。

結果、血液検査で異常は見つからなかったのですが
腹部エコー検査で異常が認められました。

左副腎の腫大です。

 

通常サイズは6mmほどまでなのですが、Mちゃんは10mmほどに大きくなっていました。
副腎はステロイドホルモンを出す臓器です。
腫大する原因には脳の下垂体の腫瘍、副腎そのものの腫瘍と大きく2パターンあるのですが
いずれにしても、腫大した結果ステロイドホルモンが過剰に分泌されてしまうと
クッシング症候群という症状を引き起こします。
具体的には、多飲多尿、多食、腹囲膨満、皮膚のトラブルなど。
一般的な血液検査では肝酵素が上昇することも多いですが、必ず起こるわけではありません。

確定診断には血中ホルモン濃度を調べる特殊な検査を行います💉
Mちゃんも、やはりホルモン濃度が高く、クッシング症候群であると判断されました。
診断名は、副腎皮質機能亢進症。
このために、皮膚炎が治りにくなったのだと思われます。

治療には病態によって内科療法、外科療法、放射線療法と選択肢がありますが
今のMちゃんの病態からは内科療法が適切だと判断し、
ホルモンの分泌を抑制する薬を開始しました💊
感染に対して抗生物質も同時に使用し、ホルモン濃度は正常値に下がり、皮膚炎も順調に落ち着いてきています🤗

 

健康診断のとき、血液検査をお勧めすることはよくありますが
やっぱりそれだけでは分からないなぁと思うことが多々あります。
気になる症状がある場合は特に、画像検査も同時にされることをお勧めします。
今回も、エコー検査を行わなければ診断ができませんでした。

そしてMちゃんの「排泄の失敗が多い」という症状!
高齢になってトイレを忘れたのか?なんて思われがちになってしまいますが、
実はこれは病気が原因で、尿量が多くなりトイレに行くのに間に合わない!ということも多いのです。
そして尿量が増えると、水分を補おうと飲水量が増えます。
1日に飲むお水の量は1kgあたり100mlを超えると、異常です。
今回の副腎皮質機能亢進症の他にも、
糖尿病、肝不全、子宮蓄膿症、腎疾患、リンパ腫など様々な病気で飲水量の異常は起こります。

お家の子は1日にどれぐらい飲んでいるか?
ぜひ一度、測ってみてくださいね。

 

それでは今日はこの辺で・・・ 出来ましたら、「いいね」をお願いします♪

R.Miura@U-KYO-Animal Hospital

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