腹腔鏡を利用した膀胱結石摘出
こんばんは、院長です。
梅雨ということもあり、雨の多い日が続きますね。
若い頃は雨は嫌いだったのですが、
病院や自宅の草木が雨で嬉しそうな様子を感じ取れるようになり、
梅雨の季節も好きになって来ました。
何事も考えようです。
さて今日は膀胱結石のお話をします。
膀胱結石はその名の通り、膀胱内に石ができてしまい、様々な症状を引き起こす疾患です。
石の種類によっては、薬やフードで溶解できることもありますが、多くでは手術が必要となることも多いです。
従来ではお腹を開いて、膀胱を出して来て、膀胱を大きく開いて、石の取り残しがないようにしっかりと観察して・・・という流れだったため、動物に負担のある手術でありました。
飼い主様の多くも負担の大きい手術は避けてあげたいと考えられてる方が多いようで、
最近では膀胱結石の腹腔鏡手術の依頼も多いように感じます。
ですので、膀胱結石摘出手術の流れを今回は描いてみようと思います。
症例は男の子の小型犬のワンちゃんです。
他院での健康診断の結果、結石が見つかり、負担の少ない手術で直してあげたいとのことで、
当院を紹介受診されました。
以下手術中の写真になります。
まずはお腹の中を観察するためのトロッカーと呼ばれる筒状の挿入口を確保します。
そこからカメラを挿入して、
お腹の中を観察しながら膀胱を確認して、
鉗子で把持します。
膀胱はお腹のすぐ近くまで持ち上げて、
膀胱内にカメラを入れるために支持糸というもので固定します。
膀胱が固定できれば、
膀胱に小切開を加えて、カメラで内部を観察します。
膀胱内の結石を確認したら、適宜摘出していきます。
細かい砂のような結石はサクションと呼ばれるもので、
掃除機のように吸って回収していきます。
そのあと、膀胱やお腹を縫合して、手術は終了となります。
非常に傷口が小さいのがわかると思います。
この子も麻酔覚めからも元気にしてくれて、何よりです。
このように腹腔鏡での手術というのは、傷口が小さくて体の負担のない手術であることは確かですが、
何よりも膀胱内をくまなく拡大しながら観察できるため、結石の取り残しなどのミスがなくなります。
石の種類によっては非常に脆く、小さくなってしまって取り出しにくいこともありますが、
カメラで観察しながらであれば、問題なく全てが摘出できます。
このように低侵襲なだけではなく、手術を確実なものとしてくれるところが腹腔鏡手術の非常に良いところだと思います。
当院では通常の病院にはないような、腹腔鏡やCT、Cアーム、体外循環装置といった種々の医療機器があります。
機械は存在するだけでは役立ちません、ですので、これからも医療機器の進歩に合わせて、獣医療レベルを向上させられればと思います。
そのためには1に勉強、2に勉強。
今年から新人で働き始めた獣医さんや看護師さん。
学生から社会人になって3ヶ月。
体力的にも精神的にもしんどくなってくる時期だと思いますが、
頑張って勉強して乗り越えていって欲しいと思います。
この職業は一生勉強が必要ですが、
逆にそれが楽しいところでもあります。
楽しいと感じれれば、続けることは苦ではありません。
これからも楽しみながら勉強を続け、多くの動物を助けられるようにありたいと思います。
院長
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京都市内初の腹腔鏡システム、CT検査装置導入 [腹腔鏡下避妊手術、遠隔診断]
動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER・SAGANO
JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
ISFMキャットフレンドリークリニック ゴールド認定