あと一歩
6月6日(火)
゜゚・*:.。..。.:*・゜獣医師の臨時休診のお知らせ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜
それぞれの通常の休みに加え、下記日程が休みとなりますのでご注意下さい。
平野:6月10日(土)午後、11日(日)、24日(土)午後
百石:6月3日(土)午後、17日(土)午後
こんにちは!
最近、夜が寒く感じませんか?
日中は暑いので半袖で出勤していますが、夜の帰宅時には
羽織るものが欲しいくらいに寒いのですが、皆さんはどうですか?
体調崩さないように気を付けましょう!
今日は元気が有り余って病院では手の付けられないこともある
バセンジーのK君のお話です。
いつもは元気一杯のK君ですが、ある時から元気がなくなっていき
一日に何度か吐いてしまい下痢もするということで来院されました。
血液検査、レントゲン検査、エコー検査を進めていくと、、、
まずは血液検査において、アルブミンという蛋白質が低くなっていることが
判明しました。
このアルブミンは肝臓で作られて、血液中のホルモンや栄養素を全身に運搬する
非常に重要な役割を担っています。
また血管の内側と外側の水分のバランスを保つ働きもあります。
そのため、このアルブミンは少なくなるということはこのバランスが崩れることを
意味します。
その結果、血管の外側へ水分が漏れ出てしまい浮腫の原因となります。
続いてレントゲン検査。
下がその時の画像ですが、お腹の臓器がややわかりにくくなっています。
正常な犬では臓器の境界ラインがはっきりと見えます。
腹水が溜まっているとこのような画像所見が得られます。
エコー検査でも腹水が確認されました。
腹水はアルブミンが低下し、血管外に水分が漏れ出ることによって起きたと
考えられました。
血液中のアルブミンが低下する原因としては、
・飢餓、栄養不良
・肝機能の低下
・腎機能の低下
・蛋白漏出性腸症
・大量の出血
などなど、、、
実際にはこのほかにも様々な原因が挙げられますが
肝機能が低下しているかどうかは血液検査で、
腎機能が低下していうかどうかは尿検査でそれぞれ判定しましたが、
どちらも異常はありませんでした。
となると、今回の原因は腸にあるのではないかと考えられました。
しかし、ここからが大変です
肝臓や腎臓はすぐに善し悪しが判定できますが、
腸の場合は少し時間がかかります。
まずは食事反応性腸症や抗菌剤反応性腸症という病気を疑いました。
食事反応性腸症は普段の食事を低アレルギー食に変更し、反応を見ます。
抗菌剤反応性腸症は抗菌剤の内服を開始し、反応を見ます。
この試験的治療を約2週間程続けてもらい、改めてアルブミンの値を測定します。
この試験的治療が上手く行けば、アルブミンの上昇が認められます。
上手く行かなかった場合は、炎症性腸疾患(IBD)という他の疾患が
原因として考えられるようになります。
IBDの確定診断の為には、内視鏡検査による腸粘膜の生検が必要になってきます。
ここまで色んな検査を受けさせられ、K君にとって道のりは大変でしたが、
原因究明まであと一歩のところまで来ています。
もう少し一緒に頑張ろうね、K君!
それでは今日はこの辺で・・・
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Hirohata@U-KYO-Animal Hospital
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