進行性脊髄軟化症の治療 〜ギリギリ間に合いました〜
6月11日(日)
゜゚・*:.。..。.:*・゜獣医師の臨時休診のお知らせ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜
それぞれの通常の休みに加え、下記日程が休みとなりますのでご注意下さい。
平野:10日(土)午後、11日(日)、24日(土)午後
百石:17日(土)午後
院長の平野です。
本日もお休みをいただきましてありがとうございます。
早朝より大阪にて動物の心臓病外科チームの一員として、手術をおこなっておりました。
1日掛かりの大手術のため、お休みをいただいてしまい申し訳ありませんが、ご了承ください。
私の身体がいくつもあればいいんですが・・・
とりあえず無事に手術も終わりホッとしています。
さて今回のお話も「進行性脊髄軟化症」のワンちゃんです。
急に病院に問い合わせの電話がありました。
進行性脊髄軟化症と診断を受け、治療法もなく安楽死も検討してくださいと言われてしまったが、
諦めきれないとのことで、飼い主さんより当院に連絡がありました。
症例はダックスフンドです。
年齢もまだ4歳です。
これからの人生の方が長いのに、諦めたくはありません。
しかし当院の脊髄軟化症の治療条件の一つに
「前足が麻痺していないこと」というものがありますが・・・
既に前足の麻痺が少し始まっているとのこと。。。
これ以上麻痺が進行してしまえば、当院でも治療する術はありません。
大阪にお住いの遠方の方でしたが、
提携のMRIセンターでの予約・撮影を迅速に済ませ、すぐに当院へと来てもらいました。
当院来院時の写真と動画ですが、前足の麻痺が始まっており、寝たきりの状態でした。
MRIの結果と臨床経過を照らし合わせて、まず進行性脊髄軟化症で間違いなさそうです。
このままではあと数時間〜半日でも経てば、前足も完全に麻痺してしまうでしょう。
そうなる前に急いで、手術を実施しなければなりません。
午後の診察終わりでしたが、スタッフにも協力してもらい夜間手術の始まりです。
麻酔をかけて、手術部位を大きく毛刈り・消毒して。。。
さあ頑張ろうね。
まずは脊髄軟化症の大元の原因でもある椎間板ヘルニアに対するアプローチを始めます。
従来であれば、ピンクの綺麗な色をしている脊髄が暗赤色になっていました。
嫌な予感がしつつ、硬膜(脊髄を覆う薄い膜)を切開すると・・・
どろっと液状に軟化(壊死)した脊髄が流れ出てきました。
やはりMRIでの診断通り、脊髄軟化症で間違いありません。
確定診断がつけば、あとは脊髄軟化症の手術に切り替えます。
頭側の方まで障害を受けている脊髄を確認するために、手術部位を広げていきます。
そして浮腫を受けている脊髄を解放してやります。
脊髄は脳と身体をつなぐ神経のため、慎重な操作が必要となります。
そして・・・無事に手術終了しました。
大きな傷口で長時間の大手術になってしまったけど、本当によく頑張りました。
夜中の手術になりましたが、一緒に頑張ってくれたスタッフにも感謝です。
あとは内科治療を併用しながら、麻痺が進行しないように見守ります。
要注意期間は1週間。
この間に麻痺が進行しなければ、打ち勝てたことになります。
今回も無事に乗り切ってくれました。
動画で見てもわかり通り、少しではありますが前足の麻痺にも改善が見られます。
リハビリを頑張れば、車椅子で走り回れるようになる日も来るでしょう。
本当によく頑張ってくれました。
退院前にお母さんと写真をパチリ。
お母さんが諦めずに遠方の京都まで連れてこられたお陰です。
今回では前足の麻痺も少し始まっていたため、本当にあと少し遅れていたらと思うとゾッとします。
ギリギリ間に合いました。
このように進行性脊髄軟化症は前足が完全に麻痺する前に手を打たなければなりません。
どうしようかと悩んでいる時間を病気は待ってくれません。
椎間板ヘルニアや進行性脊髄軟化症と診断された方は、できる限り早急にご連絡ください。
この病気の治療を知らない方も多いです。
是非シェアしていただき、この病気で亡くなる子が少しでも少なくなればと思っとります。
私の体力の続く限り全力で治療に当たらせていただきます。
院長
それでは今日はこの辺で・・・・
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