右京動物病院(京都の動物病院)右京動物病院スタッフブログ7月27日(金) 神経性尿道閉塞

7月27日(金) 神経性尿道閉塞

お勉強

7月27日(金)

゜゚・*:.。..。.:*・゜獣医師の臨時休診のお知らせ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜
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平野:7月29日(日) 
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分院長です。

まだまだ慣れない暑さが続いていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょう。ここまで暑いと海に行きたくなるものです。どこかいい海水浴場がありましたら教えてください。

東京で勤めていた頃は湘南によく行きましたが、汚くても海は海。黒い海を眺めビールを飲んでいた頃が少し懐かしいです。

前回話していたフットサルはセミナーが入ってしまい、結局参加できず。今晩も診察後にセミナー予定です。

新しいフットサルシューズを買ったはいいものの、新品のまま本棚の上で出番を待っている状況です。来月こそはピッチに立たせてやりたいです。

 

さて今回のお話は神経性尿道閉塞のお話です。尿道閉塞に関してはこれまでにもいくつか記事にアップされているかと思いますが、その多くは尿道結石による物理的な閉塞が原因であったと思います。

これは尿道が細い雄猫に圧倒的に多く、雌猫がなることは稀です。

 

今回来院された雌猫のFちゃん。二日間全く尿が出ていないとのことで来院されました。

触診すると、カチカチの膀胱(尿がパンパンな証拠)が確認されました。

雌猫ですが結石が尿道を閉塞している可能性もあります。しかしレントゲン検査、エコー検査、尿検査を実施しても結石はもちろん、結石の赤ちゃんである結晶すら検出されませんでした。

エコー検査画像ですが拡張した膀胱は確認できますが、浮遊物すらありません。結晶などがあれば星空のような白いドットがみえるはずです。

ここで、尿道閉塞を起こす原因をおさらいします。

①感染性  ②結石  ③新生物  ④外傷性  ⑤炎症性  ⑥神経性

これらの原因が尿道閉塞を引き起こす可能性があります。

今回は問診、尿検査、超音波検査、レントゲン検査の結果、①、②、④、⑤の可能性は否定的です。また猫は膀胱や尿道に新生物(多くは腫瘍)が発生する確率が低いことから、⑥の神経性の尿道閉塞が疑わしくなります。

神経性の中にもいくつか種類がありますが、どの種類か見分ける為に試験的に圧迫排尿をしてみます。圧迫排尿とは獣医師が皮膚越しに膀胱を握ることで、排尿させる方法です。

容易に圧迫排尿できるのであれば、膀胱の出口に問題はなく、膀胱を縮める筋肉を支配している神経に問題がるということになります。

逆に容易に圧迫排尿できなければ、膀胱の出口を締め付けている筋肉を支配する神経に問題があるということになります。

Fちゃんの場合は圧迫排尿をしましたが、力を込めても尿はなかなか排出されませんでした。明らかに流出路の抵抗増加がありそうです。怪しいのは尿道括約筋の過度な収縮です。

尿道括約筋とは膀胱の出口にある尿道の周りをぐるりと取り囲んでいる筋肉です。この筋肉が神経異常により過度に緊張している為、尿道が締め付けられ、排尿ができない状態になっていそうです。

巾着袋の紐が強く締まりすぎているイメージです。

このような尿道括約筋を支配する神経の異常はざっくりいうと頭に近い神経に問題がある場合です。

加えてFちゃんは以前より後肢に麻痺性の運動失調が見られており、最近は前肢にも同様の症状が見られているとのことでした。

おそらく責任病変は頸髄(首の脊髄)か大脳、小脳、延髄にある可能性が高いです。ここからはCTやMRIにより原因がどこにあるのかはっきりさせなければいけませんが、ひとまずは膀胱括約筋を緩めてくれる内服薬により治療を開始します。

 

今回のお話はここまでですが、尿道閉塞にも色々な種類があることや、いかにしてどの種類なのか見極めていくのかという事を少しでも理解していただければ嬉しく思います。

 

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