8月10日(金)延命治療
8月10日(木)
・8月の臨時休診(本院医療センター)
お盆も変わらず診察しておりますが、下記の日程で獣医師が臨時休みをいただきます。
平野:8月11日(土)、12日(日)、19日(日)、25日(土)午後、26日(日)
百石:8月4日(土)午後、18(土)午後
三浦:8月19日(日)
國廣:8月18日(土)
※詳しくはホームページの勤務表をご確認ください
・8月の臨時休診(嵯峨野分院)
8月13日(月)、14日(火)はお盆休みをいただきます。
こんにちは。分院長です。
最近は気温も少し下がり、過ごしやすい日が続いていますね。お盆も近づいており、皆さんはどう過ごされますか。
分院 SAGANOは13日、14日とお盆休みを頂く予定です。溜まった仕事をかたつけようと思います。
ご迷惑をおかけ致しますが、ご用の際は本院をご利用ください。
さて今回は概念的な話で退屈されるかもしれませんが、少しお付き合いください。
普段診察をしている中で、食欲がなくなり元気が無くなった犬猫をみることがよくあります。
そんな中で少なからず耳にする言葉が
『延命治療は希望しません』
というものです。
根治できるものはさておき、根治はできないが治療をすることで寿命を伸ばせる病気に遭遇した時、延命治療というものについて考える時が皆さんにも来ることでしょう。
今現在このテーマに向き合っている方も少なくないと思います。
今回はこの延命治療について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
みんなが大好きwikipediaによると
『延命治療(えんめいちりょう、Life-support treatment)とは、疾病の根治ではなく延命を目的とした治療のことである。』
とのことです。
これを見て率直に思うことは、『じゃあほとんどが延命治療やん!』ということです。
実際に歳をとれば根治が難しく、付き合っていかなければいけない病気も少なくありません。
心臓病、腎臓病、免疫疾患、腫瘍性疾患、神経疾患など根治は難しいけれども、治療をすることで劇的に寿命が伸びる病気も多く存在します。しかしこれらの治療することは言葉の定義からいけば全て延命治療になります。
はたして本当にそうでしょうか。
例えば特発性てんかんと言われる病気は幼少期から発生することが多く、全身性の激しい痙攣が症状として現れます。治療をしないと、発作により脳障害が起きたり、発作自体に体が耐えれなくなり死亡することがあります。しかしお薬を飲み続けることで発作は抑えられ、健康的な一生を全うすることができます。
このてんかんに対する治療を皆さんは延命治療だと思いますか。
私を含め、ほとんどの方が延命治療だとは思われないはずです。
これは、お薬を飲めば健康的な生活を送ることができ、その子にとっても、ご家族にとっても意味のある時間を過ごすことができるからだと私は思います。
ここが大きなポイントです。
治療をすることで意味のある時間を作ることができるかどうかが延命治療と感じるかどうかの境目なんです。
慢性腎不全で腎機能回復は望めなくても、点滴を続ければ元気に過ごすことができます。
自己免疫疾患による貧血があっても、免疫抑制剤を飲み続ければ元気に過ごすことができます。
例え全快とならなくても、ご家族との幸せな時間が過ごせるのであれば延命治療だとは私は思いません。
周りの事情を知らない方達は優しさからこう言うでしょう。
『延命治療だからもうやめてあげたら?』
『もう可哀想じゃない?』
でもお家で気持ちよさそうに撫でられたり、お腹を出して寝転んでる姿を見ていればとてもじゃないけど治療をやめることなんてできませんよね。
それでいいんです。家族に囲まれて幸せそうに寝れている、それを見てご家族の心が和むその時間にこそ意味があるのです。
数日前に治療中の子がなくなりました。どこにいっても手の施しようがなく2.3日で亡くなるでしょうと告げられSAGANOにこられた子です。
エリスロポエチン、TIBC、血清鉄、ヘモプラズマ、イオン化カルシウム、intactPTH,
PTH-rp、クームス試験、蛋白分画、骨髄吸引検査、T4、コルチゾール
普段皆さんが聞き慣れないような特殊検査を重ねた結果、赤芽球癆と診断し、治療に取りかかりました。病気の概要や治療法に関してはまた後日お話できればと思っているので今回は割愛します。
結果からいうと1ヶ月以上元気に過ごすことができましたが治療半ば、虹の橋を渡りました。難病とはいえ勝ちを狙いにいった治療をしていたため、やはり残念で仕方ありません。
しかしあの可愛らしい穏やかな顔を見ていると、またご家族からお家での過ごし方をお聞きすると、短い間ではありましたが間違いなく意味のある幸せな1ヶ月であったと確信していますし、またそのようにお声をかけていただけました。
私にとっても、ご家族にとっても決して延命治療ではなかったと今でも思っています。
このテーマに一つの答えはなく、人それぞれ変わってくるかもしれません。
悩まれた際にはご相談ください。一緒に考えていきましょう。
taiyo@U-KYO-Animal Hospital