おしっこがでない・・・
11月24日(火)
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こんばんは、獣医師の國廣です。
またまたコロナの波が来ておりますねぇ。
今年の正月は福岡の実家に帰省しようかと考えておりましたが、
難しそうです・・・。
今年も残すところ約1ヶ月ですが、例年よりもあっという間な気がしました。
そう感じる方も多いのでは?
やり残しがないように計画的に動いていきたいところです。
ではでは、本題に移りましょう。
今回は「おしっこが出ない」猫ちゃんのお話。
最近来院されたJくんは、膀胱炎を何度も繰り返しており、夜間にも何度か通われていました。
尿が出ていない大まかな原因としては
・腎不全末期で尿が作られていない
・泌尿器系(腎臓から排尿までの流れ)のどこかで詰まっている
の2つです。
1つ目に関して、腎臓は血液中の老廃物を尿として濃縮し、体外に出す役割を持った臓器です。
なので、腎不全が末期状態だと腎臓が機能せず、尿毒症といって体の中に毒素が溜まってします。
こちらの場合は大きな治療はなく、予後が悪くなります。
2つ目に関して、結石や炎症による閉塞(尿路閉塞)です。
この尿路の閉塞(尿閉)、何が怖いかというと
排尿ができなくなってしまうと、膀胱にどんどん尿が溜まっていき
最終的には腎臓に負担がかかり、急性腎不全を起こしてしまいます。
今回のJくんも腎不全を起こしていました。
治療としては、まず内科治療を行い炎症を抑える目的でステロイドを使用しました。
一瞬改善は認められたものの、また詰まってしまい命の危険があったので、
外科手術を行うことにしました。
手術は「会陰尿道瘻形成術」というもので、簡単にいうと陰茎の先端を一部切り取り
尿道を拡張させる手術です。実際の手術写真も載せていきますと
まずは術前写真。なかなかの光景ですが、しっかりと毛刈り、消毒をして術野を清潔にします。
続いては尿道をは露出させるため、陰茎部分と脂肪、筋肉を慎重に剥離していきます。
そして太めのカテーテルを挿入しながら、
尿道の拡張を行います。
そして尿道部分をしっかり漏れが出ないように縫合し、
皮膚まで縫っていき手術は終了となります。
とても繊細な手術ですが、無事終えました。
術後はしばらくカテーテルが入っているため、数日の入院ですが
Jくんは性格的に入院にだいぶ不向きでした。
面会のときにご家族が来た時は、機嫌がよくなるため
そのときに処置をするような形で、できるだけ負担のかからないようにしました。
なんとか抜糸まで終わり無事に退院できました。
術後の経過も良好なので、もう大丈夫だとは思いますが
やはり「おしっこが出ない」という症状、極めて危険です。
普段の生活を一緒に過ごされているのは、僕たち病院の人間ではなく
ご家族である皆さんなので、できるだけ異変に気づいてあげられるように
普段から意識していただけると早期発見に繋がり、命を救えます。
何でも相談していただければと思いますので、
これからも宜しくお願い致します。
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