心臓外科手術と長期入院、よく頑張ってくれました。
こんばんは、院長です。
コロナによる3回目の緊急事態宣言が出てしまい、特に何をするでもないGWとなってしまいましたね。
私の趣味は美味しいものを食べることですので、この期間に本当は店を予約していたのですがキャンセルとなりました。
もちろん私も残念ですし、お店の方も残念かと思います。
しかし、なんとかこの国難を乗り切るためにも自分にできる些細な自粛を頑張りたいところです。
皆様も自粛疲れなどあるでしょうが、その分、愛犬や愛猫との時間を楽しめるようにしてみてください。
さて、今日は心臓外科を頑張ってくれたワンちゃんのお話です。
症例は10歳のマルチーズの男の子、病名は僧帽弁閉鎖不全症です。
京都府北部のかかりつけ医の先生からのご紹介でした。
肺水腫を繰り返しており、なかなか自宅での内科治療でコントロールができない症例でした。
性格的にも興奮しやすく、自宅で何度もチアノーゼになってしまうこととなり、手術を実施することになりました。
しかし
残念ながら手術はすぐにできるものではありません。
術者、第一助手、第二助手、機械出し、麻酔係、ポンプ係、検査係、外回り。。。
上記写真のように多くの人が必要な手術のため、日程調整も必要です。
手術日は1ヶ月以内でスケジューリングしましたが、それまでの間も病院で20日ほど預かり入院となりました。
そして手術日当日を迎えます。
手術日当日は朝から院内はバタバタです。
昼くらいから麻酔導入がなされ、手術が始まります。
心臓を止めて、左心房を切開し、僧帽弁を修復していきます。
手術時間はトータルで6時間ほどです。
無事に乗り切ってくれました。
しかし術後にも合併症に注意して入院管理が必要です。
血栓症、不整脈、感染、肺炎、腎不全、膵炎etc…
連日泊まり込みで管理を続けていきます。
そして大きな問題もなく、本人も徐々に元気を取り戻してくれました。
スタッフにも慣れて、かまってくれと言っています。
ここまでこれば一安心です。
このように心臓病末期に近い症例(StageDなど)では、自宅での管理が難しいケースもあります。
そのような場合には入院で内科治療を実施しながら、心臓手術に向けてベストなコンディションに整えていくことが重要です。
今回は手術までの20日くらいを病院で治療しながら、なんとか手術日当日を迎えることができました。
手術後も10日前後は入院期間が必要なため、今回は1ヶ月近くも入院生活が続いたことになります。
このように長期間の入院というのは、動物にとっても飼い主にとっても寂しいものです。
私たちも極力入院はしないで済むなら、その方がいいと考えています。
しかしどうしても自宅での管理が難しい場合はその限りではありません。
今回のケースのように、手術までに向けた内科治療を実施することも可能です。
そして手術した心臓は・・・
手術前後のエコー動画を添付しましたので、ぜひご確認ください。
無事に左心房と左心室を隔てている僧帽弁がしっかりと機能し、逆流を制御できているのがわかります。
術前は強心剤、血管拡張薬、利尿剤など多くの薬を飲んでいましたが、もう必要ありません。
しばらくは経過観察が必要ですが、これで心臓病は治って長生きしてくれることでしょう。
今回は自宅での内科管理が難しい症例を、病院で治療しながら手術に移行する経過をお示ししました。
このようななケースは稀かもしれませんが、当院では重度の子でも諦めずにチャレンジしています。
本人も本当に寂しかったとは思いますが、よく頑張ってくれました。
僧帽弁閉鎖不全症でお困りの方は、ご相談いただければと思います。
最後はカメラ目線の可愛い顔で締めたいと思います。
これからも元気で長生きしてね。偉かったですよ。
院長
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動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER・SAGANO
JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
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