肥満細胞腫の手術
9月27日(水)
こんばんは、院長です。
昼と夜で寒暖の差が激しく、体調を壊されている方が多く感じます。
院内で風邪が蔓延しないように注意したいと思います。
私も手洗いうがいは心がけているのですが、ついつい忘れてしまうこともあり、反省です。
さて今日は肥満細胞腫の手術を頑張ったワンちゃんのお話です。
肥満細胞腫は名前から”太っている”ことが関係しているようにも感じますが、
実際は「肥満」と「肥満細胞腫」は関係ありません。
肥満細胞という細胞が腫瘍化したガンであり、犬の肥満細胞腫は全て悪性腫瘍に分類されます。
局所浸潤性が非常に高く、再発率の多い厄介なガンです。
根治を目指す治療方法は早期発見・早期手術になります。
できるだけ腫瘍の小さいうちに、正常組織も含めてガン細胞の取り残しがないように大きく切除することが重要になります。
今回のワンちゃんは陰茎(おちんちん)のところに腫瘍ができてしまっています。
これは非常に厄介です。
大きく取ろうと思うと、陰茎も切除しなければなりません。
しかし陰茎を取ってしまうと、今後の排尿に支障が出てしまいます。
今回は腫瘍の大きさもまだ小型でしたので、できる限り陰茎を残す方向で手術をしていくことになりました。
腫瘍から約3cmほどの部位を切除していくために、マーキングしています。
周囲の皮膚にメスで切開を加えていきます。
腫瘍を傷つけるとガン細胞が散ってしまうために注意深く切開していきます。
今回は陰茎を残しますが、できる限り深層の組織も切除することが望ましいため、包皮粘膜ギリギリを残して切除しています。
陰茎周囲の筋肉などを切除することでできる限りのマージンをかせぎます。
最後に陰茎を形成して手術は終了です。
しばらくは下腹部の皮膚や筋が張った状態で違和感があるかもしれませんが、じきに慣れてくるはずです。
そしてあとは病理検査の結果を祈ります。。。
結果はやはり肥満細胞腫でしたが、その中でも低グレード(比較的悪くない)、なおかつ完全切除されているというものでした。
肥満細胞腫の中ではもっとも良い形での結果が帰ってきました。再発には今後も注意していく必要がありますが、ひとまずは安心です。
このように肥満細胞腫の手術は小さなできものであっても、非常に大きな切除が必要となってきます。そして肥満細胞腫は身体のいたるところにできます。
しかも見た目や硬さも様々であるため、視診だけでは肥満細胞腫かどうか判断できません。
そのために重要となってるのは細胞診検査です。
細い針をさして、できものの細胞を採取することで肥満細胞腫は診断できます。
気になるできものがある場合は一度ご相談ください。
院長
京都市右京区(鳴滝・常盤・太秦・嵯峨・嵐山・花園・梅津・円町・西京極)
京都市内唯一腹腔鏡システム導入 [腹腔鏡下避妊手術]
動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER