右京動物病院(京都の動物病院)右京動物病院スタッフブログ犬の心臓外科手術(僧帽弁形成術)の実際

犬の心臓外科手術(僧帽弁形成術)の実際

診察

こんばんは、院長です。
最近は毎日雨が続き、せっかくの桜が散ってしまいそうで寂しいですね。
新年度も近づき、出会いと別れの春ももうすぐです。
当院も新しい仲間が増えたり、別れもあり、新しいチームとしてに成長していきたいと思います。

さて、本日は私がここ数年力を入れている治療の一つでもある心臓外科、僧帽弁形成術について書こうかなと思います。
今日は少し難しい話と怖い写真も出てくるため、苦手な方は読み進めないようにしてください。
簡単な内容は当院のホームページをご確認いただければお分かりいただけますが、実際にどういったことをしているのかお話しします。

私が実施している手術は「僧帽弁形成術」といって「弁膜疾患(僧帽弁閉鎖不全)に対する根治的な手術です。
従来の治療では内科管理が主で、進行していく弁膜疾患に対してどうしても対処できないことがありました。
しかしここ数年で獣医療の分野でも心臓外科手術が実施されるようになってきたことで、諦められていた命を救えるようになりました。
まだまだ全国的にも実施できる施設や都道府県はわずかですが、京都府では私が初めて実施することで、現在多くの患者さんの嬉しい声を聞くことができるようになりました。

そして最近の手術実施場所は昨年に新しく開設した「右京獣医療研修センター」です。
心臓外科手術を含めた高度治療の成功には最新の設備はもちろん、熟練した手術チームが必要です。
   
そのために教育も兼ねて、私の手術や流れを様々な場所に設置されたモニターで見学しやすく、さらに記録を残せる施設となっています。

さて本題の僧帽弁形成術の実際についてですが、
もちろん動いてる心臓を手術するわけにもいきませんので、人工心肺を使った体外循環下での手術となります。
僧帽弁というのは左心房と左心室の間にある弁で、血液が逆流しないようにする働きを持っています。
そのために重要なのが、弁に付着する腱索という靭帯のような組織です。
弁膜疾患の症例ではこの腱索が伸びすぎたり切れてしまっていうることが多く、
超音波検査では弁が反転している画像が見られます。
 
また弁の開口部自体も広がりきってしまっていることが多いです。
そのため、「腱索再建」「弁輪縫縮」という二つの方法を使って僧帽弁を修復していきます。
以下、実際の手術写真です。

 
動いている心臓を止めるために、大動脈に設置したカテーテルから心筋保護液という液体を冠動脈に流して、心停止させます。

 
心停止後に左心房の天井を切開して、心臓の中を確認していきます。
心臓の中の血液は吸引機で吸って視野を確保します。

 
僧帽弁の腱索を再建するために、人工腱索を縫い付けていきます。
この腱索の長さを適切なものにする必要があり、経験が必要となります。

 
腱索再建後に弁の開口部を適切な広さにするために、サイザーと呼ばれる器具を使用して、適切な大きさに開口部を縫い縮めていきます。
これが弁輪縫縮です。

これらが終了したら、あとは切開した左心房を縫合していきます。
 
この縫合もとても重要で、縫い方が甘いと、心臓が動き出した際に大出血を引き起こしてしまいます。
丁寧に丁寧に縫合していきます。

これで心臓の手術は終了です。
 
反転していた弁もピッタリと寄り添い綺麗な形になります。

こうやって記載すると、とてもシンプルで簡単には見えるのですが、とても難しいです。
そのため日本でも実施できる獣医は十人にも満たないのではないでしょうか。
私も7〜8年前くらいから大阪で研修を積むことでようやくこの域に達することができました。
手術時間も5時間近くにも及び、集中力を切らすことができません。
もちろん一人でできる手術でもなくメンバーのレベルも要求されます。
幸いにも当院には優秀なスタッフたちが多く揃っているため、とても助かっています。

術後は24時間管理で数日看護や宿直を実施したあと、10日前後で退院となります。
術後退院成績も90%以上と高く、またほとんどの子で薬の休薬や減薬が可能となるため、
心臓病で困っている子であれば是非受けさせてやってほしい治療です。
もちろん術後成績を上げたり、合併症を減らすためにも、更なる努力は必要です。
当院には多くの仲間がいて、教育環境が充実してきたため、今後はより成長を期待できそうです。

今後も最先端の獣医療を皆様にお届けできるように知識・技術共にレベルアップしていきます。
どうぞよろしくお願いします。

院長

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